手抜き投資改めご都合主義の期待売買

結果だけに一喜一憂するご都合主義の期待売買

テキサスホールデムとオプショントレード

先日、テレビでテキサスホールデムのやり方などを紹介し、実際にプロの方と勝負をして流れなどを確認していた。

この中でそのプロの方曰く、テキサスホールデムというゲームは「勝負に勝つというのではなくいかにチップを減らさないか、いかにチップを増やすか」みたいな事を言っていて妙に腑に落ちる。

仮に勝負に勝ってもチップが思うように増えなければ意味がないし、勝率が悪くても最終的にチップが一番多ければ勝者となる。

1ゲーム毎の勝敗数で勝負が決まるのではなく言わばトータルリターンで勝負が決まる。

コツコツドカンではなく逆コツコツドカンとも言うべきものだろう。

ここでギャンブルとは何ぞやとあらためて思う。

ギャンブルとは勝負の結果を運に任せる、あるいは結果が分からない事に賭けるものだという意味ではありとあらゆるものがギャンブルとなる。

スポーツなどでここでパスを選択するのはギャンブルだ、などと言う場合は成功するかしないか分からないからギャンブルという表現を使っているというよりも、失敗した時のリスクが大きいから使っている場合が多いように思う。

リターンと比較して相対的にリスクが大きいというよりはリスクそのものの絶対値が大きいからだと思う。

そう考えると、確率が半々でも1プレイ1プレイのリスク=損失が低い場合はギャンブルとは言わないのではないか。

確率が50%を超えるのであればリターンと損失が同額なら長期的には利益があがる。

上がる確率下がる確率が前もって分かるなら苦労はしない。

株ではギャンブル的な取引をしないのが儲かるコツ、などと言われても上がるか下がるかなんて最初から分かるわけもなく、そういう意味では少なからずギャンブル的要素はあるといえる。

結局のところ、結果が分からないもの、或いは結果を運に任せるもの、などがギャンブルだと言ってしまうとほとんどそういう事になってしまう。

従って、ギャンブルというのはリスクが高いものと言い換えたほうがいいのかもしれない。

この場合のリスクというのは負ける確率=リスクではなく、被る損失が絶対的にも相対的にも大きい場合を言う。

例えば、決算発表を明日に控えているある株を持っているとする。

予想ではかなり悪い決算である。従って既に株価は下落基調。

もしも予想よりよければ株価はかなり上げるだろう。しかし、予想通りなら更に下げるかもしれない。もしかすると、予想より悪い可能性だってある。その場合はさらに大きく下落するかもしれない。

そして、ここで買い値とほぼ同値まで戻ったとする。

この株を持ち越すことが言わばギャンブル的取引と言えるのではないか。

上げるか下げるか確率的なものは分からないが、大きく下げる要素がある。逆に大きく上げる可能性もあるが。

いずれにせよ、勝率ではなくトータルのリターンとして考えるといかに損失を抑えるかがキモとなる。

コツコツ儲けるのではなくコツコツ損するとでも言うのだろうか。本来10%の損失だったものが5%に抑えられれば5%利益とも考えられる。

 

テキサスホールデムで考えると、毎回毎回いいカードがそろうわけではないが、いずれ揃う時がくる。その時にチップが少なければリターンも少なくなる。なぜなら自分の賭けるチップの額にリターンが依存するからである。これがキモである。

勝っても場に賭けられたチップ総額が総取りできるわけではない。

勝率を高くする術を持っているならどうだっていい話だが、それができれば誰も苦労はしない。勿論そういう天才みたいな人もいるだろう。自分が天才ならそれでいい。

逆に言えばいくら勝率が高くても、負ける時の損失が大きくて、勝つ時のリターンが少なければ最終的には勝者になれない可能性がある。テキサスホールデムというゲームは勝ちの数で順位を決めるものではなく、チップの額で決めるものだからである。

サッカーで言えば勝点で優勝を決めずにゴール数で決めるようなものである。いくら負けてもとにかくゴール数さえ多ければ優勝する。

もっともテキサスホールデムではリターン=ゴール数が手持ちのチップに依存するが。

 

この事はオプションに限らず株にも言えることであり、勝率は実はあまり重要ではないことが分かる。

このように考えると売りの非優位性が分かってくる。なぜなら売りは売った額以上の利益はでない。勝率が仮に高かろうと絶対的な利益の総額は投資した最初に決定されている。逆に言えば勝率を高くしないと利益の増大も見込めないことになる。

これに対して買いの利益は無限大なので売りよりも買いに優位性があるのは明白である。

そして、オプションの場合は買いの場合の損失、売りの利益というものが分かる。

買いにしろ売りにしろ、ブラックショールズ式によって長い目でみると突拍子もない価格付けはなされない。別の見方では買い続けても、或いは売り続けても長い目でみると収支がトントンあたりに落ち着くことになる。勿論、常に適正な価格ではないためそこに利益のチャンスがあるとも言えるが。

オプションの価格が概ね適正だと仮定すると、オプションの買いであっても大きく利益がでることもあるがその反面勝率が低く、結果として収支トントンとなる。

見方をかえると、買いのコストが分散され、利益がでるときのリターンで補填しているようにも見えるし、逆に言えば買いのコスト以上の利益は出ないことになる。

要するにトータルリターンを毎回毎回のオプション価格に分散させているとみることができる。

そう考えると損失になるときの損失を減らすとそれが利益となる、ということになる。

自分が購入した額以上のリターンはでないということはテキサスホールデムで言うところの自分のチップに依存するに似ていなくもない。

 

もっとも、これはあくまでオプション価格がブラックショールズ計算式によって適正な価格で取引し、買い続け、或いは売り続けてSQを迎えた場合であって、かつ少なくとも数年に渡って取引を機械的にやり続けた場合の話である。

例えばIVが高いから売るとか逆にIVが低いから買うなどし、それが的中させることができればそれをやればいいだけの話である。

相場が今後上昇すると分かり、それが的中させる確率が高い人であればピンポイントでそういう取引をやればいいだけである。