個別の株の世界では何億どころか何十億、いや何百億も利益を上げたという話をちらほら聞きますがオプション取引ではほとんど聞いたことがありません。
勿論、実際は儲かっているけど表に出てこないだけかもしれませんが、いずれにしても相対的に少ないと言っていいと思います。
オプション取引自体をやっている人が少ないというのも一因でしょう。
とは言え、儲かっている人もいるにはいますね。バックスプレッドで一世を風靡したACさんとか、、、で他はちょっと思い浮かばない。。。
最近では謎の投資家50セントあたりも有名かもしれません。謎ですからもしかすると機関投資家とかヘッジファンドかもしれませんが、なんせVIXのコールを大量に買うと言うまさにオプションのセオリー無視のやり方で恐らく2億ドルは利益をあげたらしいと言われている。
そもそもオプション取引に興味をもち、やってみようと言う人の多くは相場の上下に関係なく利益をあげられるという点に魅力を感じていると思われる。
しかし、ちょっと考えると分かるがこれは相場の上下に関係なく損をすることもあるということである。
勿論このようなネガティブ情報は投資本やアフィリエイトブログにわざわざ書くわけもない。いや、もしかすると本当に分かっていないのかもしれない。
にもかかわらず、相場の上下に関係なくと言いながらIVの上下はとれると考える。
オプションは買うよりやはり売りの方が有利だと考え売りを主体にやり始める。
プットのほうがコールより割高なのでやがてプットが主体となるが、ATMから近い権利行使価格は怖いからとファーアウトザマネーを売るようになる。プットの売りは下手すると破産と耳にタコができるほど聞かされていて注意していたものの、全然ボラが上がらないのでそのうちファーアウトは安いからと大量に売るようになり、ある日突然暴落が襲い1年2年と積み上げた利益が根こそぎ奪われる。
で、自分のやり方がよくなかったとか、損切りを早めにしておけばよかったなどと考えて結局また同じように売り主体でやり始める。例えばヘッジに外側のプットを買うなど。
そうなるとヘッジの分コストがかかり利益を削る。暴落の時の被害は軽減されるもののトータルで結局利益がでない。
よくよく考えてみるとなぜオプションは売りが有利だと結論付けたのだろうか?
売りで大きな損失を被っても売りが有利だという考えが変わらない根拠は何だろうか?
恐らく明確に答えられるオプショントレーダーはそう多くないだろう。
継続的に利益を上げ続けているオプショントレーダーの中には買いを主体にしている人も多いと言う。
そのような人たちがわざわざ無料で自分の手法を公表したりするはずもないから真偽のほどが分からず買いで儲けられるなど眉唾であると思う人もいるだろう。
しかし、突き詰めて考えると売り主体で大損したならむしろ逆の事をしていたら大儲けだったということにもなる。
そんなに単純な話ではないと反論する人がいるだろう。しかし、オプションを売り続けた場合と買い続けた場合のバックテストをやったことのある人がどれくらいいるだろうか?
相場の上下に関係なくと言いながら暴落がないという暗黙の前提でプットを売る。
暴落って一体どれくらい下げることを言っているのか?前日比3%下落する確率がどれくらいあるのか?
実は考えているよりも暴落の確率は高い。
オプション価格はブラックショールズで計算されているが、ブラックショールズは株価が正規分布していることを前提にしている。
しかし、株価は正規分布していない。正規分布ではほとんど起こらない確率の低いものが株では多く起こっている。
このような事を知っていてもほとんどの人は考慮しない。
デビットスプレッドだ、ネガティブガンマだ、ロングコンドルだと経験が長くなればなるほど技術的な事ばかりに目が向きがちである。
しかし、そのうち売買のアイデア自体が枯渇する。そもそも各売買戦略も結局のところ相場を予測しているのと変わらないから、相場の上下を当てることができないならば絵に描いた餅であることを認識しているから売買できなくなるのである。
IVが高くなったから売るとか、IVが低いからプロテクティブコールを建てるなどもIVが今後どうなるかの予測のもとに行っているから結局当たるも八卦当たらぬも八卦であることに違いはない。
しかし、不思議とオプションだったら儲かりやすいというイメージがどこかにあるようである。これは往々にしてオプション単体ではなくミニ先と組んだり、他のオプションとスプレッドを組んだりしてヘッジの役割をしているがために損失が逆に見えにくくなっているせいだろう。
以上、負け続けているオプショントレーダーの自伝でした。。。