手抜き投資改めご都合主義の期待売買

結果だけに一喜一憂するご都合主義の期待売買

うねり取りとデルタヘッジ

今日は少々乱暴な議論についてまとめておきたい。

先日林輝太郎氏の書籍を読んだ。以前から名前は知っていたもののなんだか胡散臭くて具体的にどういう手法をやっているかとかは知らなかった。

サヤ取り、或いはサヤすべり取りについて知りたいと思ったことがきっかけだったのだが、うねり取りとか分割売買についても言及があり、これを実践して利益をあげられるかどうかは別にして非常に興味深い、いや、勉強になった。

うねり取りと分割売買は勿論別の手法なのだが、深く理解していないために他人に説明することはできない。

ざっくりと言えば持ち株が値上がりしても売らずに(利益確定せずに)持ち続け、代わりに空売りをやっていく。ツナギ売買とか言うらしい。言葉を厳密に区別して使われていたのでもしかすると違う名称かもしれないが、考え方としてはそんな感じである。

この考え方の根底にあるのはやはり商品先物での売買手法なのだろうと個人的に思う。

商品先物の売買手法の一つに定期売りというものがある(違う名称かもしれない)。基本的に商品先物は現物より高い場合が多いが、現物を保有先物売りを定期的に行っていく。リスクゼロで儲けられる聖杯である。

現物と先物の関係性が分からないと何バカな事言っているんだという話になるのだが、この手法は商品先物の世界では常識らしい。とは言え、現物が保有できる商品先物などそうそうないわけだが。理屈が分かればなるほどとなる。

商品における現物と先物の関係性からみえてくるのは長期的にはレンジの幅はあるにせよ価格は上がったり下がったりしながらレンジの中をいったりきたりしているという点だろうか。長期的に現物を保有してリスクヘッジのために高い先物を売っておけば永久に損はしない。勿論先物が現物よりも安い場合もあるが。

 

さて、そこでうねり取りだとか分割売買だが、要は現物をそもそも売るつもりがなく長期的に保有するつもりならば確かに値上がりした時に一部空売りして値が下がった時にその空売り部分を買い戻して疑似的に値上がり益を確定するというのもおかしな話ではない。オプションで言えばカバードコールのようなものだが、カバードコールの場合は必ずしも原資産が値上がりしなくてもよいので似て非なるものかもしれない。

しかし、見方を変えるとこの手法は要するに価格が上下動を繰り返すことが前提になっているとも言える。でなければカラ売ってからもどんどん上がり続けていたらその空売り部分が利益確定できずに含み損が拡大していくからである。

この手法は言うほど簡単ではない事が分かる。株式と言うのは基本上がるために存在しているようなものなので一旦上昇トレンドが形成されるとどんどん値上がりしていくことが多い。一部利益確定するより上がったらさらに買い増しして利益を増大させて莫大な資産を築いた人もいる。

いずれにせよ、価格が上下動をしたほうがいいというのはどこかで聞いた話である。

オプションを買う場合のデルタヘッジである。

日経平均で言えば日経平均先物を買っている場合に上昇した場合、プットを買うことになるが、仮にそこから相場が下落しても時間がかかると減価が激しくなるしデルタも減少して追加でプットを買わなければプットで利益をとれない可能性も大きい。この点株式の空売り金利などはかかるもののオプションの買いに比べればマシであり、株式を空売りする場合とオプションの買いには大きな違いがある。

オプションは時間的価値がどんどん減少していってしまうという点と、IVの上下が大きく影響するという点である。

とは言え、日経平均先物オプションを商品相場のように見てみるとこれまでのオプションスプレッド売買とは違った景色が見えてくる。

日経平均先物オプションは毎月期限があり、その1限月が一つのサイクルで、その中で相場が上下していると考えることができる。これから先相場が上昇するとか現在上昇トレンドとか上がり過ぎだから下がるかもとかIVが高いからIVを売るなどといったことは基本無視である。

相場がたまたまあがったらそこである程度利益が確保でき、相場が下がった時のためにある程度リスクをヘッジできるようなポジションを組む。

デルタヘッジは価格変動リスクがないことを売りにしているが、それは見方を変えれば価格上昇益もとれないことになる。

これはもったいない。

デルタ変動のリスクをとるならそもそもデルタヘッジの必要すらないし、デルタをヘッジするにしても完全にデルタをフラットにする必要もない。

 

・・・つづく