売っていたプットのIVが2ポイント以上上昇しているのでスマイルカーブでどうなっているのかチェックしてみる。
通常のスマイルカーブ(権利行使価格を基準)だと全体的にIVが上昇しているが、これをATM基準でみるとプットのIV上がっておらず、コールのIVが上がっている結果となる。
さらに日経平均VI指数でみると0.3ポイント、率にすると1%強の下落である。
これはどういうことか?
ATM基準というのは要するにアットザマネーから250円離れたところなど、現在値からの一定の距離、値幅のIVを比較しているものだ。
従って売っていたIVが上昇しているがスマイルカーブのATM基準では上がっていないように見えるのは、アットザマネーが上に移動したためである。
素のIVは上昇しているが、同じ値幅であるアットザマネーから1500円離れたところのプットのIVは変わっていないということになる。
ということは、ATM基準でみた場合のほうが相場全体のIVの上下を表しているといっていいことになる。
そうすると、相場全体のIVを見るには日経平均VI指数でもいいことになりそうだ。
しかし、スマイルカーブの利点は仮に日経平均VI指数が下落していても例えばプットのほうは上昇しているとか、ATM近辺は下がり外側は上がっているとか見ることができる点にあるだろう。
とは言え、相場全体のIVがいくら下がっていても自分の持っているオプションのIVが上がっていることに違いはない。
つまり、売っていたオプションのIVが売り始めた時よりは上昇しているということになり、売りオプションはベガマイナスなのでIVが上昇すれば損益にはマイナスの影響を及ぼすことになる。
これは結局のところプット売りの先物売りで完全にデルタヘッジをしていたとしても損失になっているということを意味している。
相場全体がどうあれ、これはブラックショールズ計算式の帰結である。
デルタヘッジは相場が上下どちらに動いても利益となる、などと言われているのは典型的なミスリードである。